年金以外の収入源


 母親の代わりに小さい頃から家計簿をつけていた、なんていう人ならいざ知らず、親の蓄えも収入もきちんと知らない人が大半ではないだろうか?親の家計が苦しいとわかったところで、こっちも負けずに苦しい、とくに何ができるというわけでもないが、退職金や年金はいくらぐらいもらえて、定年後の親の収入はどのくらいになるのかは気になるもの。
 一応、子どもの心得として世の中のレベルを押さえておこう。

 まず紹介したいのが65歳以上の世帯の年収である。
 生命保険文化センターの調査によると、「ゆとりのある老後には約454万円はほしい」ということだが、実際の年収は250万円以下が約53%を占め、250万〜450万が約30%。つまり、ゆとりの454万円には届かない親がほとんどというわけだ。

 一方、年収だけでは分からないのが、退職金を含めた貯蓄高。退職金を日々の生活費にあてているケースもあるが、しっかり老後の資金として蓄えていることもあって、60代の平均貯蓄高はなんと全世代をとおして最高の約2320万円というリッチさ。
 30代の平均貯蓄高が約730万円だから、3倍以上の金額になる。そのうえローンの額は平均165万円と少なく、家計的には楽そうにみえる。

 とはいっても、これはあくまでも沢山持っている人と持っていない人を平均した数字なので、みんながリッチというわけではない。
 ちなみに60代でも、30代の平均より少ない600万円未満の世帯が約20%を占める。

 結局のところ差がつくのはやはり、親が働いているかどうか。
 『働いていない世帯』の平均年収は約290万円なのに対して、『働いている世帯』の平均年収は約560万円と2倍近くも違う。

 ちなみに『働いている世帯』の平均年収のうち公的年金が占める割合は約23%にすぎず、給料などが約73%を占めている。



退職金の相場


 あてにしているわけではないが、親の退職でやはり気になるのが退職金の額。
 職種や会社によって差があるというし、面と向かって「オヤジ、いくらもらったの?」とは聞きづらいものだ。
 そこで、一般的な目安になるのが労働省調査。アンケート調査では1000万〜2000万円あたりが平均値になった。
 ちなみに、外資系社長の退職金はさすがに高くて5000万円以上、青果卸売会社の社員は500万円〜1000万円、出版社の社員は1000万円〜2000万円と、職業によってかなりばらつきのある数字が並んでいる。

 なかでもおもしろいのが、退職金の満足度が金額に比例していない点。中小企業のサラリーマンが「まあこの程度」と満足しているかと思えば、3000万円も退職金をもらっているのに「就業中の労働量、質に比べてやや不足」と不満をもらしている大企業の部長クラスがいたり、上をみればキリがないといった感じだ。

 退職金の額は、だいたい退職時の基礎給に勤続年数に応じた支給率をかけたもので、退職の理由が自分の都合か、会社の都合かでも違ってくる。中高年の退職金の世間相場は月収の40ヶ月分(100人未満の企業では30か月分)ともいわれているので、それで検討をつけてみよう。